伝えたいけど、評価に響くとイヤだな
この記事は以下のような悩みを持つ方に向けて書いています。
- 仕事量が多すぎて困っている方
- 仕事量が多いことを上司にどう伝えればいいか迷っている方
私は職場において、チームリーダーとしてプロジェクトを推進する役割を担っています。大小さまざまな業務を作り、それをチームのメンバーに分担して業務を進めています。
いわば仕事を与える側にもなる人間ですが、その経験から「仕事量が多すぎる」という悩みを持つ方が取るべき行動についてお伝えします。
仕事量が多すぎる、と感じたら
多くの方は会社に勤めて、上司から指示を受けて日々の業務に取り組んでおられると思います。一つの仕事を終えたら次の仕事を与えられて、というように、一つ一つ片付けていけばいいような状況であれば特に問題は生じないと思います。
しかし殆どの場合は、一つの仕事を終える前に重ねて他の仕事を依頼されるので、常に締め切りの異なる複数の業務を抱えているような状況となります。それが重なると自分の能力では捌ききれなくなり、パンクしてしまいます。
このように「仕事量が多すぎる、もうこれ以上は無理」と感じた時に取るべき行動は一つ。その時点ではっきりとその旨を上司に伝えることが大切です。
仕事量が多すぎるときに素直に伝えた方がいい3つの理由
- 「仕事が多すぎる」ということを伝えたら、周りに迷惑がかかるのではないか?
- 仕事ができない人、として自分の評価が下がるのではないか?
- 私への課題として振ってくれた仕事、多少無理でも頑張りたい
多くの仕事を抱えたときに、人それぞれ、上記のように様々な考えを持つと思います。ですが、このいずれの場合でも「仕事量が多すぎる」ことは素直に伝えていただきたいです。
周りへの迷惑や、自分への評価を気にする必要はありません。というより、そのようなことを懸念して仕事量が多すぎることを隠す方が良くないです。
仕事量が多すぎると感じたときに素直に伝えた方がいい理由は以下の3つです。
- 仕事を与える上で、受け手側のキャパを正確に把握しているわけではない
- 与える側としては、少ないよりは多めに与えるようにしたい
- 仕事量が多ければそれを伝えてくれる前提でいる
順に説明します。
①仕事を与える上で、受け手側のキャパを正確に把握しているわけではない
これは、「正確に」把握しているわけではないということを強調しておきます。
勿論個々のメンバーに対して適切な、あるいは今後身につけて欲しいスキルであるか、等を考慮してその都度最適なメンバーに仕事を振っていますが、100%正確に把握しているわけではありません。
理由①-1:上司は自分の仕事で忙しい
上司は上司で自分の仕事に追われていることが多いです。
教育のため、ということもありますが、基本的には自分でできないから周りを頼っているわけです。そのため、自分の今の状況にぴったり合った内容と量の仕事を与えられるとは限りません。
理由①-2:部下の進捗を把握し、過不足なく業務を割り振ることは不可能
これは、普段の業務が非定型的なものである限りあてはまります。
逆に普段の仕事がルーチンワーク、あるいは高度にマニュアル化されたものであり「この業務は誰がやっても3時間かかる」という類のものであれば、部下の仕事の進捗は予定表一枚で正確に把握できますが、多くの場合そうはいきません。
仕事を振る対象が増えれば増えるほど、相手の状況にマッチした分量、難易度の業務を良い感じで与えることはとても難しいです。
②与える側としては、少ないよりは多めに与えるようにしたい
これは部下との関係性や、普段の業務の進め方などによるかと思いますが、仕事を与える側の心理として、与える業務が少なすぎてヒマな時間を生んでしまうことを避けたい、ということがあります。
理由②-1:「今暇です、何か仕事をください」と言ってくる人は少ない
仕事が少ないときに、「まだまだ余裕がありますが、何かやることないですか?」と聞いてくれる人もたまにいます。そういう人に対してはとりあえず多めに仕事を託す、ということはしません。
ですが、そうでない人、特に仕事が少ないとそのままの状況でゆったりとした時間を過ごす人達の方が多い、というのが現状です。
理由②-2:多めに与えておく方が少なくとも無駄はない
ここでいう「多めに」というのは、例えば8時間でするべき仕事として10時間相当の仕事を与える、という無理をさせる意味での多めではありません。
ヒマな時間が出来てしまうと勿体ないから、先々の仕事まで予め与えておくという意味です。10時間なら10時間分、それを10時間かけて取り組んでもらう前提で割り振って、その10時間分の仕事が尽きる前に次の仕事を準備しておく、ということです。
多少の渋滞は構わないけど、何もしない時間帯というのはなるべく発生しないようにしたいというのが正直な気持ちです。
③仕事量が多ければそれを伝えてくれる前提でいる
上記のように、毎回「この人は、この状況ではこの業務をこの期間でこなすのが適切だろう」というような厳密な期待があって業務を振っているわけではありません。
また業務量については「少な目よりは多め」を意識しがちなので、「今仕事量多すぎます」という反応は当然どこかで来るものだと思っています。そのような反応を受けて、業務量をチューニングして、というやり取りを経て与える仕事を適切なものにしていきます。
私はなるべくそのような「今仕事多すぎないですか?」という問いかけはしているつもりなのですが、リモートでちょっとした会話が減っているので、それに伴い問いかける機会が減ってしまっていることも確かです。
この時に「今仕事多すぎます」「今いっぱいいっぱいです」という声をあげてくれないと、「特に問題なく進んでいる」と認識してしまう恐れがあります。何とかこなせてるのかな、と捉えてしまいます。
仕事量が多すぎることを伝える時のコツ
仕事量が多すぎることを伝えて、自分の印象や評価を下げたくはないですよね。
これは言われる側の経験として間違いないのですが、印象が良くなる方法は2つあります。
- 定量化して伝える
- 代案を伝える
- こちらの状況の変化を踏まえて伝える
順に説明します。
1、定量化する
定量化とは、こちらがお願いした非定型の業務を、自身の状況を踏まえてその必要時間、日数などを計算して話をしてくれることです。
「仕事量多すぎて今週中は無理です」と言われるよりも、「この業務だと今週中に仕上げるのは難しくて、あと2日ほど追加で欲しい」や「○○時間ぐらい残業してよければ〇日までに終わりますけどどうしましょう?」とボリューム感を示してくれた方が話がしやすいです。
「そんなこと、仕事を振る時点で見積もれよ」と言われそうですが、過去に振った別の仕事との兼ね合いや、受け手側本人のパフォーマンス、やる気、仕事以外の予定などをすべて把握してはいないので、多くの場合仕事を出す側の見積もりは外れてしまいます。
上司は正確に見積もってくれている、とは思わない方がいいです。
2、代案を伝える
これは先ほどの定量化と繋がりますが、仕事の重要度や完成度を確認するやり取りを行うことです。
「この仕事を今週中に仕上げるなら、例えばこの仕事遅らせてもいいですか?」や「とりあえずたたき台のレベルで出すなら今週中にできますがどうしましょう?」という提案です。それぞれに必要な業務を見積もって、勤務時間内で終わらせる仕事と終わらせない仕事を決める作業になります。
これも定量化がベースにあるので話を進めやすいです。
3、状況の変化を踏まえる
状況の変化とは、仕事の重要度、優先順位の変化を踏まえた提案ということです。これは、抱えている仕事を減らすチャンスでもあります。
「先日のミーティングで、このデータは必要なくなったと言っていましたが、この仕事続けた方がいいですか?」や「今後この仕事を優先するって言ってましたけど、その場合この仕事はどうなりますか?」という確認になります。
与える側としては、もちろん実務レベルにも影響が出ることは分かっているのですが、担当している方からの確認のインプットはあるとありがたいです。
私の経験談
私はつい先日、とある業務について「チーム状況の変化で優先度が下がったなら、関連の仕事をペースダウンさせてはもらえないだろうか」という提案を受けました。
直近には不要だが、そう遠くない将来再び必要になることは分かっていたので、私としては継続したいと思っていた業務でした。しかし、他の業務との兼ね合いも考慮すると工数的にも厳しいことを同時に教えてもらったことで気持ちが変わりました。
ペースダウンではなく、その仕事はむしろ一度完全にストップするという判断をすることができました。
これも、状況を正確に伝えてくれたメンバーのおかげです。与えていた仕事が多すぎることを定量的に伝えてくれたので、迷いない判断が出来たと思っています。
まとめ
チームのリーダー、上司は、業務における目的を達成するためにメンバーに仕事を振っています。基本的に、メンバーに仕事をさせることが目的となってはいけません。
ですので、「仕事が多すぎてこなせない」ことは、チームとしても仕事が滞ることになるので早め早めに教えてくれた方がいいです。
余程文句を言うような言い方でなければ、仕事が多いことを伝えたことで印象は悪くならないのですが、伝え方を工夫すれば上司の指示の無駄を指摘出来て、仕事を減らすことも可能となります。
参考になれば幸いです。