メーカー勤務のサラリーマン、こてつと申します。
私は社内のとあるプロジェクトでリーダー的な役割を任されています。
リーダーの最も大切な仕事の一つは、決断することです。
私も例に漏れず、何かを決断することを業務の中で求められます。工数で言うと10人以上が関わって、予算規模で言うと数百万円~の案件が割と多いです。
プロジェクトチームのミーティングや上司たちも参加する会議で、チームの方向性を決めたり、やることやらないことの判断を下すための議論を行う訳ですが、そこには様々な課題があります。
私は決断を下すべき立場でありながらも、いわゆる幹部社員ではないため、上司の許可、承認を得るというプロセスも同時に必要となります。
この記事では、これまでの経験から学んだ、リーダーとしての意思決定を行う際に心がけるべきことについてまとめたいと思います。
意思決定に立ちはだかる壁
私は、リーダーとして決断を下すにあたって以下のような困難を経験しました。
- 自分の中ではこれをやりたいけど、上司がネガティブ。
- チームとして連携して動く必要があるけど、自分だけ鼻息が荒くチーム内の盛り上がりに欠ける。
- 本当にどれが最善か分からない複数の選択肢から1つを選ぶ。
到底完璧な振る舞いではなかったと思いますが、それぞれの状況において何を考え、どう動いたかについてまとめようと思います。
自分がやりたいことに対して上司がネガティブ
プロジェクトの計画や新規試験の提案などに対して「それって必要?」とか「それよりもこっちがいいんじゃない?」と上司の反応がイマイチである場合があります。
上司のハンコがないと物事が進まないので、何が何でもハンコを勝ち取ることに専念します。
「やらない=今のまま≒失敗」であることを認識してもらう
予算が原因か、あるいは成功確率の低さなのか、何かと新しいことに対して二の足を踏むタイプの上司もいます。
もちろん新たに予算を掛けることがなければ、その分のお金で他のことが出来るのかも知れません。しかし、リーダーとしてあなたの中にそのお金を使うだけの価値があると判断できるのであれば、上司の反対は何が何でも、無理にでも突破してやるべきです。
その際は、具体的な予算の使い道(私の場合は共同研究であったり外注試験などを想定します)の良し悪しを説明するというよりも、まずは今のプロジェクトの状況および課題をきちんと説明し、「ここで一歩を踏み出さなければ今のまま=課題が解決されない」ということを認識してもらうように努めるべきです。
そこが共有できれば、そのための何らかの対策を打つことは確定するわけですから、リーダーとして最適な対策を選択しましょう。
論理>>>納得感で押し切る
上司は、一度首を縦に振ってさえもらい、ハンコを押してもらえればOKです。
実際に手を動かして作業に加わる訳ではないので、「納得感」よりも正しさで押し切りましょう。もちろん納得感さえ与えられれば論理が多少甘くてもいい、というタイプの上司ならそれに応じた攻め方をするべきですが。
「上司は説得できれば何でもいい」というのがより正確な表現かもしれません。
対案を一度は引き受けるのもアリ
同じようにプロジェクトの課題を認識していて、上司なりの提案を出してくれる場合もあるかもしれません。
その提案がいいものだと思うならそのまま有難くアイデアを使わせてもらえばいいですが、客観的に見て微妙な場合もあります。その場合どうするか。
私の考えとしては、上司に限らず誰の案であっても、提案を受けたその場ではそれを前向きに進める形で受け取るのがいいと思っています。大した工数がかからない実験の提案であれば少し試してみればいいです。
「その提案はダメだと思います」と却下するより、ダメだとは思いつつも「提案してもらったことは試したけどイマイチだった」という結果を返した方が納得してもらえます。
加えてその場合、提案してレスポンスできたことになるため提案のし甲斐があったと捉えられます。つまり今後も色々なアイデアを出してくれる可能性があります。
プロジェクトの課題を自分事として考えてくれる人の数は多ければ多い方がいいので、ありがたく協力し続けてもらえるようにしましょう。
チーム内の盛り上がりに欠ける
リーダーとして方針は見えていても、チームメンバーに話した時に反応がいまいちだったり、あるいはむしろちょっと反対の雰囲気があったり。
メンバーが動かなければ仕事は進まないので、この部分の説明力はリーダーにとって必須だと思います。
大目的と個人のミッションを楽しそうに説明しよう
チームメンバーのみなさんは、個人によって様々なスタンス、やる気でプロジェクトに関わってくれています。そのような人たちにとって、プロジェクトの課題を如何に「自分事」と認識してもらえるか。
この点に関しては、恐らく「プロジェクト全体の状況や課題」をメンバー全員ともしっかり共有した上で、各メンバーの課題がそのどこに該当するか、を丁寧に説明することが必要だと思っています。
目標は、それを個人個人が他人に説明できるぐらいにしっかりインプットすること。全体の中の自分や他の人の仕事の位置づけを把握できれば、何か計画に変更があったときの同じ目線で悩んでくれたり、現場目線からの新たなアイデアが出たり、という副産物があるのではないかと期待しています。何人かに1人、そういう視点が持てる人が出てくるのではないかという期待とも言えます。
「楽しそうに」というのは、リーダーは困難にぶつかっても前向きで建設的であるべきだと思っているからです。
「課題は大変だけど何とか解決したい、そのために出来ることは何でもチャレンジしましょう。」と言えるかどうかで、メンバーも普段よりもう少し頑張ってくれる、そんなことを期待しています。
論理<<<納得感、最後は「お願い」
リーダーの判断に対して異論がある場合もあるかもしれません。
もちろん可能な限り議論すべきですが、最終的にはリーダーの判断に従ってもらわざるを得ません。その際、もちろん論理的に正しい説明であることは必要です。しかし、相手の反感を買う「正論で押さえつける」ような言い方はしないように気をつけています。
リーダーが判断をすれば、立場上その通りに動かなければいけない人です。そしてその後もメンバーとして活躍してもらわなければなりません。正しさよりも納得感を持ってもらうことを重視しています。
さらに、納得感が不十分だと感じたら最後は「お願い」です。
「納得してない部分があるのはわかる。でもここは協力してくれないか」とお願いすることで「しょうがないな」と思ってもらえれば、正論で叩き伏せるよりは先々でいい結果が得られることと思います。
当然ながら、いざという時に「お願い」が上手く機能するような関係性を作っておくことが重要ですが。
弱みをさらけ出す
飄々として、困難もそうと感じさせないリーダーも素敵だと思います。
しかし私は「こういうところが大変です。力を貸してください」ということを隠さず飾らず発信していこうと思っています。
理由は2つあって、一つは「本当に力を貸して欲しいと思っている」から。そしてもう一つは「隠したり飾ったりするのがしんどい」からです。
これらの理由は私の性格に起因しますが、よく言えば自分で抱え込まず周りを頼れるということになります。一方で悪く言えば頼りなくも見えるわけで、やり方を間違えるとこのリーダー大丈夫か?と不信感につながると理解しています。
でも、分からんものは分からんし、出来ないことは出来ない。それだけです。
余り難しく考えすぎず、みんなに助けてもらいながらプロジェクトを進めていきたいなと思っています。
判断に迷う複数の選択肢から選ぶ
外注先を複数検討していて、いずれも甲乙つけがたい、あるいはどちらも難アリ。そしてその中に「何となくここかな」の候補がある場合。
それなりにお金や時間をかける仕事で、どちらか一つしか選べない状況で、何となくの候補先に決断を促したい場合にどうするか。
ポイントは「直感と共犯」だと思っています。
まずは特徴を表にまとめる
まずは候補の特徴が一目でわかるように、表などに情報を整理しましょう。
目的は上司など複数の人にも見てもらい、判断の材料にすることです。見せることを意識してまとめます。実はそのうちの一つに推しがあるのなら、それが仄かに有利になるような項目づくりをすればいいと思います。
「判断難しいよね」を共有する
その表やそれ以外の補足情報などを持ち寄り、情報を共有します。
その時に同時に、「私の中では何となくここかなと思っている」ということと、「どれも同じ感じがして判断難しいですよね」という意見や雰囲気も共有します。
「どれでも良さそうだけで決め手に欠ける」
⇒「こてつさんが気になってるならそこにしてみれば」
という流れを期待した一手です。
赤信号、みんなで渡れば怖くない
自分自身で納得して決めるならいいのですが、判断に困ったとき、後になってからその判断に対してケチをつけてくる人というのがたまにいます。
別に「この時はこうこうこういう基準で決めました」と説明すればいいのですが、理不尽に責められるのは気分のいいものではありません。
なので微妙な判断、自分の中でも明確な基準を持って選べない選択肢については全員で決めます。「みんなで相談の上判断した」という事実を作るためです。
私の場合それに加えて、「悩んでも決められないことにいつまでも時間を使わず、さっさと決めて次に行く」というのを後押ししてもらう(させる)意味も込められています。
まとめ
プロジェクトリーダーとしてより大きな仕事に関する意思決定をするようになってから、数年前には悩んでいたような規模、難易度の案件に対して、一瞬で判断ができるようになりました。
これは意思決定そのものの経験を積んだことも原因の一つだと思います。
またそれに加えて、立場が変わり、より予算規模の大きな案件に携わるようになったことで、これまでの細かい条件の違いを考える時間の方が勿体ない、という感覚を身につけたからだと思っています。
つまり「意思決定する」という業務も、場数を踏むことで鍛えて高めることが出来るということです。
これからもより良い決断が下せるように、しっかり訓練していきたいなと思います。
参考になれば幸いです。