タイトルにある通り、坪田信貴さんの著書『才能の正体』を読みました。
坪田さんはあの「ビリギャル」の著者です。
「坪田塾」における子どもたちの受験指導にとどまらず、人材育成やチームビルディングに関する企業研修などもされているらしい。起業家としてもすごい。
ただの塾の先生だと思っていたのですが違うようです。
本書は「才能とは何か?」「人が持つ能力をどうやって伸ばすか?」というテーマについてご自身の塾での指導や組織作りの経験などをベースに解説されています。
自己研鑽に役立つポイントがたくさん書かれており、非常に気づきの多い一冊となりました。加えて、子をもつ親として、子どもにどう接していくか、どのような声掛けをするべきか、という点においても非常に参考になる一冊でした。
「才能の正体」を読んで特に響いた点4つ
本書には、自分の能力を伸ばすための考え方や、子育ての参考になるような情報が盛りだくさんでした。
つい「なるほど!」と呟きながら読み進めており、非常に学びの多い一冊でした。
以下は私が特に興味深く読んだ件です。
- 「やる気」とは幻想であり、全ての行動は動機付けで起こる
- 出来る人や頭のいい人の言葉を聞いてはいけない
- フィードバックについて
- メタ認知について
順に説明します。
1、「やる気」とは幻想であり、全ての行動は動機付けで起こる
やる気とは幻想。
やる気スイッチなどはない。
これらはいずれもどこかで聞いたことがあったかもしれませんが、改めて読むと衝撃でした。
「やる気が出ない」「やる気を出そう、出してもらおう」「やる気を引き起こすには」
自分や他人に対して、よくこんなことを考えていましたが、それは少し考え方としてずれていて、それ故に解決が困難になっていたのかも知れません。
やる気ではなく、本書にあるようにその対象(勉強だったり仕事だったり)への動機づけが上手くできていないと捉えようと思いました。
この時動機づけとは、「認知」「情動」「欲求」からなるとのことでした。とくに最初の認知(対象についての理解、状況の把握)が重要で、他人の動機づけについて考える時にはここを正確に理解することが重要であると学びました。
これは自分自身のコントロールにも役立つ考え方ですし、他者の悩みに向き合う際もここを意識することでアプローチの制度も高まる気がしました。
2、出来る人や頭のいい人の言葉を聞いてはいけない
これは能力を伸ばすにあたって、「̪師となる人の教えを守りマネする」という「守破離」が重要だとする一方、そのような人たちの「言うことを聞いてはいけない」という一見矛盾する指摘になります。
その心は「できている人」が「自分が何故できているかを正確に理解していないことが多い」ため、そのアドバイスの精度が甘く、信ぴょう性が薄いからというのが主な理由です。
「シニフィアン(表しているもの、この場合言葉)」と「シニフィエ(表されているもの、この場合「何故うまくいったか」)」という考え方はとても勉強になりました。
- 自分が何故できているか分からないが、やり方や理由を聞かれてつい答えてしまう。
- 本当に大事なポイントかは分からないけど、「何となくこういうことを意識しているよ、ここが重要な気がするよ」ということをアドバイスしてしまう。
このようになってしまうと、確かに聞いても解決には結び付きませんね。
それならば、言葉を参考にするのではなく「行動を完コピ」せよと筆者は言います。行動をマネて(マネようとしてもどうしても個性は出る)、そこで自分の行動との違いをあぶりだし改善に結び付ける方が効果的だということです。
行動をマネる、というのが「形だけ」「表面的」というニュアンスがあるので良くないことだと思っていたのですが、理由を聞いて非常に納得でした。
私の場合、師事できる人を見つける所から始めないといけませんが。
3、フィードバックについて
これが特に目からウロコでした。
まず、「フィードバックは客観的に、中立に行うのがいい」という点が驚きでした。
人は、フィードバックされると本来備わっている理想の姿を目指して変化しようとするものだから、フィードバックにその人の感情や評価を入れる必要はない、と。
鏡を例に挙げていたのが非常に分かりやすかったです。
鏡は何も評価や意見を乗せずに「ありのままの姿」を見ている人に返しているだけです。しかし、鏡に映った姿を見て私たちは理想の姿を目指して化粧をしたり髪形を整えたりしています。
だから人と人とのやり取りでも、フィードバックは客観的で事実だけを返せばいい、という理屈です。
この辺りは子どもたちへの声掛けに使えるかもしれません。
4、メタ認知について
メタ認知とは、自分がどう認知しているかを認知すること。
自分を俯瞰で見て、客観的に捉えることで自分の感情をコントロールしたり、自分自身にフィードバックができるようになり、成長が加速するとのことです。
このメタ認知に関して、「実況中継によって相手のメタ認知を促す」というのが非常に面白かったです。
これを自分に応用すれば、自分へのフィードバックが出来るようになり、それを元に行動を変えるきっかけとなることを早速実感できました(今日やってみた)。
具体的には「おおーっとー、○○にもかかわらず△△をしているー」と自分の中の古舘伊知郎を呼び起こすだけ。
「おおーっとー、食器が片付いていないにもかかわらずゲームをしているー」
「おおーっとー、ブログを書く時間にもかかわらずまだチャート(FX)を眺めているー」
上記はいずれも私が実際に行った自分の実況中継の一節です。
その後ゲームやチャートのチェックはそこそこに、本来やるべきだった作業に無事に戻れたことを報告しておきます。
このように、自分の行動をありとあらゆるタイミングで実況中継することはだらけグセのある人にはとても有効だと分かりました。
本書にあるように、本当に「自分を客観視することでポジティブになれる」と感じました。
明日以降もぜひ実況中継しまくりたいと思います。
まとめ
私が紹介したのはごく一部で、本書は冒頭から最後まで面白いことばかり書かれていました。
「自分は本当は何に向いているのだろう?」と未だに思い悩んでいる私ですが、そのような人には特におススメかもしれません。
また、自分のためになるなと思うと同時に、親として身の引き締まる思いもしました。子育てに関わる方にとっても非常に役に立つ一冊だと思います。
よろしければ手に取ってみてください。