エアプレゼンのススメ_こんな会議資料の作り方どうでしょう?

  • 2019-06-15
  • 2019-06-17
  • 仕事

こんにちは。ケーパパです。

 先日、とあるプロジェクトの一員として自分のチームの仕事の進捗を発表する機会がありました。サラリーマン歴も10年を超えて、プレゼン資料準備という仕事にもいい加減慣れてきました。ただ僕の仕事の進め方が他の方と同じであるようには思えなくて、、、。今回は、僕(研究系です)のプレゼン資料作成時の流れやポイントについてまとめてみました。自分のスタイルが確立されていない方にとって、何かの参考になると嬉しいです。

会議の流れを想像しよう

 昔の僕は、プレゼン資料の作成があまり上手くありませんでした。仕事の進捗を報告するのでも、プロジェクトの状況をまとめて今後の方針について上層部の了解を得るための会であっても、どうも自分が作った資料の内容を提示して終わるような一方通行のプレゼンにしかなっていなかったように感じます。これでは先方の要望や疑問点にアプローチできる訳もなく、プレゼンをきっかけとして議論を仕切ることができません。その原因はやはり、「独りよがりのプレゼン」にあるのではないかというのが僕の考えです。

 その問題を解決するために、僕はとある時期からプレゼン資料の作り方について考えるようになりました。何を考えるのか?それは「自分のプレゼンと、その後に展開される議論について想像する」ということです。

結論:エアプレゼンから始める

 流れを想像する方法、それは「エアプレゼンしてみる」ということです。エアプレゼンとは、資料が何もできていない状態で、想像でプレゼンをしてみることです。

 僕がエアプレゼンを行う際は、データに関する細かい数字については気にしません。ただ必要と思われる情報やデータは大まかに頭に入れていることが必要で、それらを提示する順番や論理展開などを考慮します。また、各パートに関するプレゼンでは話量のバランスを考えて、全てアドリブで多少グダグダになりながらもプレゼンを行います。そして、自分でしっくり来た流れのエアプレゼンに沿う形で資料を肉付けしていきます。

エアプレゼンのいいところ①_要点を絞った構成が作れる

 プレゼン内容を考えるときに、その骨組みから作ることが習慣づいている人はこの点に関しては特に困っていないかと思います。ですが、全体像を考えることなく本論のスライド(研究系でいうと個々の試験内容に関するスライド)から作り始める人の場合、一通り作って、いざ全体を通してみてみると量が多すぎたり、今回の会議の目的にこのデータは必要なかった、ということを僕もよく経験しました。結局準備したうちの何割かをそのまま削除したり、Appendix行き(=本論では用いず、質問が来た時に使うかもしれない予備スライド)にすることになります。

 一方でエアプレゼンをしてみると、その時自分の頭に残っている内容に基づいて話を組み立てることになります。何を見ながら話すわけでもないので、結果として説明が簡素になり、内容が非常にコンパクトになる傾向があります。必要な情報をカバーできていない簡素さであれば問題かもしれませんが、この点はエアプレゼンを繰り返すことで精度が上がっていきます。そしてそのコンパクトな構成を元にして、後から厚みを加えていくようにすれば無駄なくバランスのいい発表に仕上げることが出来ると期待できます。

資料を作りこむことから入るとどうしても伝えたいことが増えてしまい情報過多になりがちです。なのですが、先に話してみると、「このスライドで伝えるべきことは実はそんなに多くない」ということに気づきます。

エアプレゼンのいいところ②_「自分の言葉を紡ぐ」発表になる

 プレゼンの上手い人の特徴として挙げられることはいくつもあります。その中でも僕が一番重要だと思うのが「自分の言葉を紡いでいる」ということです。準備した(与えられた)台本を読むわけではなく、作ってもらった資料をなぞるわけでもなく。自分の伝えたいことがあって、それを受け手にわかりやすいように視覚情報として補足するためのプレゼン資料なのですから、自分の言葉が先にあるのが当然です。

 そう考えると、エアプレゼンもある意味で理に適っていると言えないでしょうか。「伝えたい主張に関するデータは頭に入っている」⇒「メモなしで、話の流れを重視して伝えたいことを口にする(エアプレゼン)」⇒「その流れに沿った資料作成」。これは正に「自分の紡ぐ言葉の補足情報としてのプレゼン資料」です。

 自分の言葉が先にあるので、発表資料を見ながらそれを追いかけるようなプレゼンになることを防ぐことが出来ます。聴衆に目線を配る余裕も生まれ、身振り手振りなどを加えたまるでCEOのようなプレゼン(ジョブズとか孫さんとか検索してみてください)に近づけることが出来ます。CEOレベルまで見た目に気を配る必要はなくても、「発表している自分に気を配るのに精いっぱい」なプレゼンは多くの場合つまらないので、結構寝られてしまいます。結果としてプレゼンを通して伝えたい内容や議論したい内容について十分に予備理解を得ることが出来ず、会議を通してあまり成果が得られないことになります。

 スライド作成先行型だと、「話そうとしていた内容が飛んだ(忘れた)」ということもあり得ますが、エアプレゼンを経ていると自分の言葉が先にあるので、原稿を忘れて発表が止まる、ということはまずありません。もちろんスラスラと言葉が出てくるようになるには練習が必要かもしれませんが、地道に繰り返せば誰にでもできると確信しています。

 だって「自分の趣味」について友達に語るときに、パワポ使いますか?好きな異性を口説くときにパワポ使いますか?熱い口調で、唾を飛ばしながら、身振り手振りを交えながら、多少支離滅裂だったりたどたどしかったりしながらも相手の顔を見て必死の表情で話す、という状況を思い浮かべると思います。仕事のプレゼンをいかにそれに近づけるか、そのカギを握るのがエアプレゼンだと思っています。

応用編_発表時間が多い場合

 もし発表が30分以上など長時間の場合は、その30分をいくつかに分ける大項目(背景、本論、提案や予定、など)を割り当てて、それぞれについてエアプレゼンをして内容を固めていく流れが使えるかもしれません。1時間を想定したエアプレゼンを繰り返して洗練していくのはさすがに大変なので、小分けにするのがいいのかなと思います。

まとめ_資料作りではなく、プレゼン作り

 未経験の状態から、いきなり大舞台のプレゼンを新しい方法で準備するというのは時間を無駄に消費するリスクがあるので、必ずしもおススメできるものではありません。また、ミーティングの性質によっては「主張を伝えることや上の利承認を得る云々」ではなく「事実関係の精査」に焦点を当てるものも多数存在します。

 研究系においてはゼミというか、ラボミーティングのようなものがそれにあたると思うのですが、別に聞こえや見た目のいいプレゼンは不要で、それぞれの実験に関する細かいデータを正確に伝えることが何より重要とされる場合もあります。僕のことではないですが、後者にあたるミーティングで身振り手振りを(過剰に)含むような「聴こえのいい」プレゼンを繰り返した結果「詐欺師」と陰口を叩かれる先輩もいました。

 陰口云々はただ悲しいことですが、会議というのはそれぞれに目的があって、その目的に合わせた形式で発表を行うことが求められるということです。その点は上の人ほど暗黙のうちに使い分けていますので、準備の際には十分気を付けていただければと思います。