保育園世代の子供を持つ親御さんにとって悩みの種である夏風邪。子供を中心として患者数が増えていく感染症として有名な「手足口病」「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」の三大夏風邪について、自らの学びも兼ねてまとめてみました。
手足口病
原因:
エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなど。ノンエンベロープウイルス(エンベロープという膜をもたない、ノロウイルスなどもその仲間)であり、アルコール消毒や熱に対して抵抗性があります。
ウイルスはくしゃみなどによる飛沫感染と鼻水などが付いた手でおもちゃを持つことなどによる接触感染の両方の経路で感染する可能性があります。
そのため消毒には酸性アルコール消毒剤(リン酸などを加えてpH を酸性に調整したアルコール消毒剤)を用いる必要があります。
症状:
潜伏期間は3~6日。口腔内や手足に水泡ができ、1~3日程度発熱します。
口内炎ができるため、食欲が減退し飲み物も受け付けなくなります(これを想定しておかないと、食べない原因を探るのに時間がかかりますね)。飲み物を受け付けなくなると脱水の原因となるので、まずは十分な水分補給をしてあげる必要があります。
発熱後に症状は落ち着くようですが、まれにエンテロウイルスは髄膜炎の原因となるため、子供の状態は良く観察しておくことが必要で、少しでも異常を感じたら診察を受けるようにしましょう。
治療法:
特異的な治療法はありません。発熱や脱水などについての対症療法で状態の回復を待ちます。
その他注意点:
回復後も呼吸器から1~2週間、消化器(便)から2~4週間、ウイルスは排出され続けます。感染拡大の予防措置については注意する必要があります。
ヘルパンギーナ
原因:
コクサッキーウイルスA型。こちらもノンエンベロープウイルスなので、除菌には酸性アルコール消毒剤が有効です。
ウイルスはくしゃみなどによる飛沫感染と鼻水などが付いた手でおもちゃを持つことなどによる接触感染の両方の経路で感染する可能性があります。
症状:
潜伏期間は3~6日。39℃台の高熱が1~3日続き、喉が赤くはれて水泡ができます。水泡は数日で潰れて黄色い潰瘍となり、その後落ち着きますが、喉の痛みが強く食欲減退、飲み物の摂取もできなくなります。飲み物を受け付けなくなると脱水の原因となるので、水分補給をすることが重要です。
治療法:
ヘルパンギーナに対する特異的な治療法はなく、対症療法で状態の回復を待ちます。喉の痛みから食欲が低下しているので、冷たいたべものやゼリーなど、のど越しのいいものをあげるようにして下さい。
その他注意点:
高熱をこじらせると、熱性けいれんを引き起こすことがあるそうです。
また、回復後も呼吸器から1~2週間、消化器(便)から2~4週間、ウイルスは排出され続けます。感染拡大の予防措置については注意する必要があります。
咽頭結膜熱(プール熱)
原因:
アデノウイルスが原因です。プールの水を介して感染が広がると言われることから「プール熱」と呼ばれています。
アデノウイルスは「ノンエンベロープウイルス」であり、アルコールや熱に耐性があります。そのため消毒には酸性アルコール消毒剤が効果的だそうです。
症状:
咽頭炎(のどの痛み)や結膜炎、あるいは39℃前後の高熱が主な症状です。
潜伏期間は2~14日間ほどで、頭痛や食欲不振が1週間程度持続するそうです。目が充血したり眩しがるような仕草を見せることも特徴の一つです。
治療法:
プール熱に対する特異的な治療法はなく、対症療法で状態の回復を待ちます。
喉の痛みから食欲が低下しているので、冷たいたべものやゼリーなど、のど越しのいいものをあげるようにして下さい。
その他注意点:
呼吸器から2週間、消化器(便)から4週間程度、ウイルスは排出され続けます。感染拡大の予防措置については注意する必要があります。タオルの共用や手指を介した接触感染経路が知られているため、目やにを拭うタオルは使い捨てにするなどの対策が有効です。さらには塩素消毒が不十分なプールに入ることでも感染が広がりますので注意が必要です。
まとめ
原因となるウイルスや症状は大きく異なる点もありますが、「特異的な治療法はなく、対症療法」「水分補給が重要」「飛沫感染、接触感染の両経路がある」などの共通点を押さえていれば、初動で大きく間違えることはないと思います。登園可能となるまで時間がかかりますが、少しでも回復が早まるよう気を付けたいですね。
※参考サイト
https://family.saraya.com/kansen/index.html
http://www.ishikawa.med.or.jp/kenkou/teasikuti.html
https://sotoiko.net/pickup/hand-wash/