問題が早期に顕在化するチーム環境になっているか?

チームで仕事を進める時に避けたいこと

リーダーの下でメンバーが役割を持ち、各自で業務を進めていく。リーダーは適宜進捗を確認し、チームに方向性や理念を示し、結果に邁進できる環境を整備する。

チームで仕事を進めていく上で気を付けたいことはいくつもあると思いますが、大きく気をつけたいことは、上手くいっているときはいいですが課題が生じたとき、また予定通りに行かなくなった時など、問題点をそれが小さいうちに可視化、共有して早期に解決することだと思っています。

リーダーとしては問題があったらすぐに把握したい。しかし、常にメンバー、部下の仕事ぶりを監視しているような状態を除いて、問題点は現場の担当者からの報告が上がることによってのみ明らかになります。

つまり、リーダーがどれだけ早期に問題を把握したいと思っても、担当者が小さいうちに問題点をシェアしてくれなければその存在を認識することはできません。リーダーが自然と気づく時というのは、もうすでに割と問題が大きくなった時、あるいは問題が生じてだいぶ時間が経った時となります。

そうであれば、リーダーとして出来ることは「小さな問題を報告してくれるような環境」を整備することに他なりません。この環境づくりにおいて、うちの上司が「これはないな」という対応を取っていたのでその時の気づきをまとめたいと思います。

小さな問題点をシェアしてくれるような関係性を作れているか?

「現場の人がリーダーに小さな問題点を上げてくれるか?」

これは恐らく、現場との信頼関係に大きく依存すると考えています。そして、リーダーとの関係性を考えた上で「上げても大丈夫」と思ってもらうために取るべき態度は一つ。

「問題を報告した人を責めないこと」これに尽きると思います。

問題があったときに人のせいにされると、担当者は萎縮すると思います。

「ミスを報告すると責められる。もうちょっと頑張れば自分で解決できるかもしれないから対応してみるか。報告はもうちょっと後でいいや」という考えに至るのもある意味仕方がありません。そして、むしろこれならまだマシかもしれません。

「ミスを報告すると責められる。よし、黙っておこう」とされると、顕在化したときには時既に遅し、となっていて、そのリカバリーに相当の人出と時間を割く必要がある、ということもあるかもしれません。

何にせよ、「問題を後ろに回す」ことにメリットは全くありません。

一方、リーダーが問題点を報告されたときに「ありがとう」と言えるとどうでしょうか。

「問題が明らかになってよかった。今からみんなで対策を打てるからよかった。シェアしてくれてありがとう」と言えるとどうでしょうか。

忘れてはいけないのが「起こってしまったことはもう仕方がない」ということ。例え問題の報告が遅くなってしまったとしても、そこで報告が遅いことを責めてもしょうがありません。

「次からはもう少し早く教えてほしい」ということを伝えることは必要ですが、どんなに報告が遅くてもまず一言目に「教えてくれてありがとう」と言えると、チーム内に問題を共有しやすい雰囲気が生まれると思っています。そうすればもっと積極的に「共有しよう」という意識が担当者に芽生えるかもしれません。

チームの雰囲気、空気はみんなで作るものですが、当然リーダーの態度による影響は小さくないと思います。

私の上司の場合

私の上司が部下にかけた声を紹介します。とあるホウレンソウに関してある日突然、

「問題は必ず小さいうちに報告して下さい。ちゃんと報告しないことの方が罪深いです。」

驚きました。これ、言われた部下の気持ちはどうでしょうか?

「ちゃんと報告しなきゃ。」と背筋が伸びる思いをする方もいるでしょう。もちろんそういう意味ではある程度効果的だったかもしれません。でも、本当にこれでチーム内の問題点が洗い出されるでしょうか。

既にちょっと問題を抱えている人が「実は、、、」と相談しにいける雰囲気に繋がるでしょうか?

私はこの上司の言葉から「問題があったとしてもそれを認識したくない」という意図を感じざるを得ませんでした。

相手の立場に立って考えよう

この辺りは自戒を込めて書いておきたいと思います。

「○○してください。▲▲はだめです」と言われたときに、その言われた相手の取りうる選択肢はどうなりますか?どんな手が残っていますか?

「問題は小さいうちに報告してください。報告しないことの方が罪深いです」というセリフは、既にある程度の大きさの問題を抱えてしまっている方がいた場合にその人の次の一手を塞いでしまっています。

「じゃあ自分は今後どうしたらいいのだろう?報告しないままがよくないのは分かるが、報告しても罪深いと言われる状態で。。。」となってしまい、自然と追い詰められてしまいます。

そうしてその人を責めることが目的ならアリなのかもしれませんが、基本的にそんなことをしてもチームにはプラスになりません。それなら「報告しないまま問題を大きくしてしまう人ができた状況」を問題視して、そうならないような仕組みを考える方が遥かに前向きで有意義だと思います。

そのためには「そうなってしまった人」に状況や何を考えてそうなってしまったかをヒアリングし、問題を正確に分析することが必須となります。

どう考えても、「問題を報告しない人を責める」ことで得られるものはありません。

まとめ

チームで仕事を進めるうえで生じる問題点やミスなどは、それが小さいうちに共有されることが望ましいです。しかし、リーダーの態度によってはそのための担当者からの報告が上がりづらい空気を醸成することにつながり、結果として損失が大きくなります。

「報告してくれてありがとう」「解決策を人ではなく仕組みに求める」といった前向き、建設的な態度をリーダーが取ることで、問題点に関する報告や相談がしやすい雰囲気を作って行くことが重要です。