「異端のすすめ」感想_リーダー必読の一冊

橋下徹著「異端のすすめ」を読みました。

結論から言うと、仕事に身が入らない方や、リーダーとしての振る舞い、考え方について悩んでいる方に強くおススメできる一冊です。

著者の弁護士、政治家としての濃厚な半生から生まれるエネルギーは相当なもので、それを本書から感じることが出来ます。

人によっては食あたりを起こすかもしれませんが、「あぁ、自分ももっと頑張らないとな」と強く背中を押してくれる一冊だと思います。

橋下徹さんについて

橋下さんは、弁護士をしながらその個性的な風貌やトークでバラエティ番組などに出演し活躍されていました。

(個人的には「行列の出来る法律相談所」での北村弁護士とのやりとりや東野幸治さんとの絡みが好きでした)

その後大阪府知事選に出馬し当選、大阪維新の会や日本維新の会を立ち上げ、さらには大阪市長として大阪の復活、活性化のために尽力されました。

大阪都構想の是非を問う住民投票では僅差で否決となり、その結果をもって政界から引退。

惜しむ声の多い中で想像以上にあっさりと政治家を引退されたのは驚きでしたが、それまで懸けていた熱量があったからこそ出すことが出来た結論だったのかなと捉えています。

現在は弁護士、コメンテーターとして活動されています。恐らく講演会の依頼などはひっきりなしでしょう。最近はYoutubeチャンネルも始められ、発信の幅を広げて活躍している印象です。

テレビ出始めのころの茶髪、サングラスの風貌や、「橋本羽鳥の番組」などで見せた出演者との丁々発止のやり取りからはキツイ印象も受けました。

しかし最近の「NewsBar橋下」などでは番組の趣向の違いなのか、時が流れたからなのか「父親」としての姿や「おじさん」としての姿を見る瞬間も多く、だいぶ印象が柔らかくなったと感じます。

本書では、個人としての生き方が問われる時代において、いかにして「自分の強み」を武器にして突き抜けた人になるか、そして納得できる人生を送るためにはどうすればいいか、という「生き方」について「50の教え」という体裁で書かれたものです。

「異端のすすめ」から得た学び

1、「同じことを繰り返し伝える」ことの重要性

私は本を買って読むぐらいには橋下さんのファンなので、その考えとか取り組む行動の先に何を見ているか、といったことは比較的理解しているつもりでした。

それでも、周りがそうとは限らないため、必ずファーストステップとして同じような質問を聞かれます。

橋下さんに関して私の印象に残っているやり取りは「何故『大阪都構想』という地方のことが目的なのに国政に出てくるのか」という質問です。

純粋に目的を尋ねているというよりは「どうせ国会議員としての地位が目的なんでしょw」といった「矛盾を追及した鋭いツッコミ」のニュアンスでの質問が多かったような印象でした。

理由は「都構想を進めるには法律の制定が必要だから」ということなのですが、この質問は私がテレビで見ているだけで複数回あったので、そうでない場所も含めたらきっとうんざりするほど聞かれているのではないかと思います。

橋下さんほどの露出がある人でも、特に積極的に求めていない限りその考えや行動に対する思いなどは周りに知られていない、ということを強く感じました。

橋下さんとしては同じ話を何度もするのではなく、違う話に時間を割きたい。でも周りはそこまで情報が追い付いていないから話が進まない。結果橋下さんは不完全燃焼、となることが多かったのかなと想像します。

都構想の是非、のような話についても、基本的な状況や情報に対するインプットから話を進めなければいけないためテレビなどでは議論が十分に進まない。

政治家時代の橋下さんはさぞやきもきされていたのではないかと想像しました。

今は、政治の現場ではなくコメンテーターとして、外から維新の活動をサポートしている感じです。きっと維新の考えを広く浸透させる広告塔の役割を担っていて、現場のリーダーたちにはそれぞれの仕事に専念してもらうというシフトを取っているのかと想像しています。

本人は政界復帰については今のところ否定を続けていますが、私も橋下さんには政界復帰ではなく、今のポジションで政治を解説し続けて欲しいと思っています。恐らく少数派の人間です。

リーダーとして準備しておくべきは、「自分のPJの概要や問題点、達成したいことなどのプレゼンを簡潔に、30秒から1分程度出来るようにしておくこと」ではないかと思いました。

早速取り組みたいと思います。人によっては日本語/英語両方でいりますね。

2、「常に勉強すること」の重要性

リーダーとして異なる分野のエキスパートたちと議論するにあたって、橋下さんはその分野についてしっかり勉強して臨んでいたそうです。

印象的なのが治水の話。政治的決断を下す人が専門家の意見を鵜呑みにしないこと、専門家に対して自分の考えをぶつけたり質問が出来るレベルにまで知識を持つことが重要だということを強く感じるエピソードでした。

多くのリーダーは組織が大きくなればなるほど、専門分野に関してはその分野のエキスパートの判断をそのまま採用することが多いのではないでしょうか。

そのエキスパート達からしても、「この人は話を聞いてくれる」と感じられるため信頼を得ることに繋がるかもしれません。

または「この人はちゃんと勉強してくるから適当なことは言えないな」と背筋を伸ばす効果もあり、結果としてその問題に本腰を入れる確率が高くなる効果もあると思います。こちらが主目的だったのでしょうか。

さらに「持論工場」の話もとても印象的でした。

私もこのエピソードを読んで以来、気になるニュースに関して「ふーん」で終わらず、自分の考えを持つこと、そしてそれを発信する訓練を始めています。ブログの更新もその一環です。

まだ小さい工場ですが、少しずつ大きくしていきたいと思います。

3、「どうすればできるのか」を考えること

難関を突破する「できる」マインドの作り方の章では、組織に成功体験を与えることで「こんなこともできるんだ!」という意識の変革を促すことが出来るとありました。

大阪城公園でのモトクロスバイクのフリースタイル大会の開催にまつわるエピソードでは、「大阪城公園内の庭園を使うなんてあり得ない」という考えが大半を占めていた府市の職員たちの猛反対を押し切って開催に踏み切ったことが紹介されていました。

結果イベントは大成功、庭園の使用料を得て、芝生の張り替えもされるなどのオマケもついてきたとか。

そして何より、そこから府市職員や周りの方々が「こんなこともできるんだ、やっていいんだ」というマインドを持てるようになり、新たな提案がどんどんでてくるようになったそうです。

『成功体験』が『出来るマインド』を芽生えさせ、『出来るマインド』が『新たな成功体験』を生む、というサイクルを回すことに成功した事例だと思います。

私はやはりこの「そんなのできるわけないやん」という後ろ向きな雰囲気において「最初の成功体験」をもたらした強烈なリーダーシップに感銘を受けました。

リーダーが「何が問題なのか、どうすればできるのか」という考えを持つことで、実行に向けて前を向いて組織を動かしていくことができます。そうして突き動かされているうちに内部にも変化が生じ、少しずつ歩みは加速していく、とそんな感触もあったのでしょうか。

「迷ったら大胆な方を選ぶ」といった判断基準も結構好きです。周りで働く人たちは大変かもしれませんが、「次はどんな一手が飛び出すか」と傍から見ている分にはとても楽しいリーダーでした。

また、マインドの持ちようは意識、訓練で作ることが出来ます。

私は成功体験主導型ではないのですが、仕事現場において思わず「それ無理やろ、、、」と思ってしまったとき、「じゃなくって、どうすればできるのか?」と思い直すところから始めています。

その甲斐あってか、最近は思い直す頻度も減ってきており、上司からの無茶ぶりに対しても「また変なこと言ってるな、どうやって取り掛かろう?」から入れるようになりました。あれこれ考えることは楽しいですし、結構好きな時間です。

むしろ最近では、そうして私が「どうやってやろう?」を考えている間に、無茶振った本人が「やっぱさすがにあれは無理やわ、代わりにこうしよう」と取り下げに来ることがありました。

そのことは若干拍子抜けだったのですが、自分から「それは無理です」と断るよりも、上司に取り下げてもらった方が結果として印象も悪くないです。

今のところそういう副産物しか得られていませんが、いつか「できる」マインドを元に達成できることが増えればこんなに嬉しいことはありません。

まとめ:エネルギーをもらえる一冊、おススメ

個人的には、仕事にイマイチ身が入らない方や、リーダーとしてどうあるべきか?という振る舞い、考え方について悩んでいる人は読んでおいて損はない一冊だと思います。

著者が歩んできた濃厚な弁護士、政治家人生からあふれるエネルギーに触れることが出来、「あぁ、自分ももっと頑張ろう」という気持ちになります。

強くお勧めできる一冊です。

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