- プレゼンを成功させるための準備には何が必要?
- プレゼン資料の構成はどう組み立てる?
このような悩みを持っている方にお勧めしたい著書があります。
「プレゼンが上手い人」オリラジ中田さんからの3つの学び
中田敦彦著「僕たちはどう伝えるか」を読みました。
読了した直後の感想は「ビジネスの場において、テクニックや心構えなど、参考になる部分が多い」です。
私は研究畑にいるものですが、データを基にして地に足の着いた議論をすべき我々にとっても非常に有益な内容を含んでいます。
これから本書で特に強く印象を受けた内容について3点紹介します。
1、「緊張」の質の違いと「準備」の大切さ
本書では、プレゼンや発表につきものの「緊張」について面白いことが書かれていました。
しっかりと準備した結果生じる「いい緊張」は本番直前をピークとし本番に入るとおさまってくる。
一方で準備不足のために「失敗するかもしれない」という「悪い緊張」は本番が始まってからピークを迎え、本番が終わるまでおさまることは無い。
緊張の質の違いを生む一番の原因は、ちゃんと準備ができたかということ。著者は実際に人に話すことを繰り返して本番の舞台や収録に臨んでいるそうです。
緊張には違いはなく、どうしたって緊張する、という考えだったのですが、この質の違いには気づきませんでした。そして、非常に納得しました。
私自身、プレゼンが上手くいくかどうかは、「トークが上手いかどうか」ではなくて、「準備がちゃんとできたかどうか」であることは経験から分かっていました。
もちろん、トークが上手い人は練習不足を補える側面はあるかもしれませんが、練習でその差を埋めることは可能だと考えています。
事前準備のやり方も同感で、やはり通して話すようにしないとだめだと思います。資料の流れとは別で話の流れが掴めないので、意外とそこで変更点が浮き彫りになったりします。
そして、「自分で作った資料なのにその説明順が難しい」ことなどは実際に喋ってみて気づくことだったりします。
プレゼンに体温を乗せるためにも、資料をなぞるだけにならないようにしなければいけません。
2、無意識にしていないか?「謙遜に見せかけた言い訳」
「100%の出来ではありませんが、聞いてもらえますか?」
このような言い回しは「謙遜」に見せかけてハードルを下げようとする「言い訳」で、単に聞き手に甘えているだけだから絶対に慎んだ方がいい、と著者は主張します。
この件を読んで私はドキッとしました。自分のこれまでのプレゼンに、特に意識せずそのようなフレーズを入れ込んでいなかったかと思ったからです。
何故なら研究結果に関する発表では「~と思われます」「が示唆されます」など、解釈について言い切らないことを是とする世界だからです。
結果に関してはそれが事実なので「100%こうだ」と言い切れるのですが、結果の解釈や考察などについて断言できる状況と言うのはほぼありません。
そのような環境にあるため、普段から何かと「言い切らない」ことが習慣になってしまいがちです。それが知らず知らずのうちに「発表でも予防線を張るクセ」として悪い影響を及ぼしていないかとても気になりました。
「事実」と「意見や考え」は分けて伝えることが重要、というのは常識ですが、改めて気をつけようと思いました。
3、研究現場でも必要なアピール
私は研究現場にいる人間なので、「事実を淡々と」述べるプレゼンがいいという教育を受けてきました。
結果が10なら10と、1なら1と伝える。
10を100だというのは捏造だとして、10の隣に0.1を並べて「ほら、100倍凄いでしょう」と述べるのは場合によっては事実誤認を招くので行うべきではないと思っていました。
その観点からすると、「緩急で揺さぶる」や「声の抑揚で気を引く」といった部類のこともいわば末節であり、その色が濃く出たプレゼンは我々の職場で「ショー」「詐欺師の振る舞い」と揶揄され、陰に日向に非難されてしまいがちでした(怖い・・・)。
著者のプレゼンは良くも悪くも「その部類」だと思っています。
「しくじり先生」や「俺の持論」などでの視聴者を引き付けるプレゼンが印象的で、個人的には大好きです。
ただ彼はやはりテレビタレント、エンターテイナーなので、職場のプレゼンであれをそのまま持ち込むと逆に目を背けられかねないな、と参考にする気にはなれなかった、というのがかつての正直な気持ちです。
ですが、最近は結果の伝え方や解釈に熱を込めることの重要性をひしひしと感じています。
その理由は、私の立場が「一研究員」から「リーダー」となり、プレゼンの相手も「同じ仕事をしている上司」から「社内の他部門や外部組織」へと変化してきているからです。
数値を過不足なく正確に伝えることが求められるプレゼンと、その数値が示す意味、その数%の変化がもたらす意味から伝える必要があるプレゼンではやはりその伝え方が変わってきます。
また、10を10と言うんだけど、聞いてる人が11だと言われたぐらいの印象を受けるような熱意を乗せたプレゼンと言うのも時には必要であることを学びました。
目的に応じてテイストを変える必要があるので、その一翼に対する心構えやテクニックを本書に学ぶことが出来ると強く思いました。
まとめ:プレゼン準備の節目に読み返すと効果的
想いを伝える。そして人を動かす。
それが出来る伝達能力こそが人類に備わった最強の武器だといいます。
凋落に優れた武将が無傷で戦に勝ち、勢力を拡大することで躍進するように、プレゼン能力を身につけて敵を減らし、味方を増やすことができれば仕事の場においても非常に優位に立てます。
本書は分量が多くないので読みやすく、30分もあれば読了できます。
重要なプレゼンが近づいてきたときに、目次を眺める。
そして「あぁ、そういえばこれも重要だったな」と思い当たる点があれば本文を読む。
そのような使い方もいいかもしれません。その繰り返しによってプレゼンの上達が期待できると思います。
本棚に置いておいて損はない一冊、おススメです。
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