日本長者番付2020を見ていたら息子を東大ではなく慶応に行かせたくなった

Forbes JAPAN7月号において、「2020年版日本長者番付」が取り上げられていました。先日は世界ビリオネアランキングを取り上げましたが、今回は日本のランキングを取り上げて、その感想を綴りたいと思います。

日本長者番付(純資産額)トップ20

「名前(年齢)/会社/資産額/出身地/出身校」

  1. 柳井正(71)/ファーストリテイリング/2兆4084億円/山口県/早稲田大
  2. 孫正義(62)/ソフトバンクG/2兆2140億円/佐賀県/UCバークレー校
  3. 滝崎武光(74)/キーエンス/2兆1384億円/兵庫県/尼崎工業校
  4. 佐治信忠(74)/サントリーHD/1兆152億円/兵庫県/慶応大
  5. 高原豪久(58)/ユニ・チャーム/6372億円/愛媛県/成城大
  6. 三木谷浩史(55)/楽天/5832億円/兵庫県/ハーバード大
  7. 重田康光(55)/光通信/5076億円/東京都/日本大(中退)
  8. 毒島秀行(67)/SANKYO/4428億円/群馬県/慶応大
  9. 似鳥昭雄(76)/ニトリ/4320億円/北海道/北海学園大
  10. 森章(83)/森トラスト/4212億円/東京都/慶応大
  11. 永森重信(75)/日本電産/3996億円/京都府/職業能力開発総合大
  12. 土屋嘉男(87)&一族/ベイシアグループ/3564億円/埼玉県/-
  13. 伊藤雅俊(95)/セブン&アイHD/3510億円/東京都/慶応大
  14. 三木正浩(64)/ABCマート/3456億円/三重県/東邦学園短期大
  15. 安田隆夫(70)/ドン・キホーテ/3402億円/岐阜県/慶応大
  16. 野田順弘(81)/オービック/3391億円/奈良県/関西大
  17. 大塚裕司(66)/大塚商会/3380億円/栃木県/立教大
  18. 小林一俊・孝雄・正典/コーセー/3380億円/東京都/-
  19. 韓昌祐(89)/マルハン/3024億円/韓国/法政大
  20. 宇野正晃(73)/2592億円/宮崎県/東京薬科大

その他、21位以下で目に留まった方々を個別に抜き出すとこんな感じ。

  • 21位/多田勝美(74)/大東建託/2538億円/三重県/四日市工業校
  • 23位/前澤友作(44)/スタートトゥデイ/2052億円/千葉県/早稲田実業高
  • 27位/元谷外志雄(76)/アパグループ/1566億円/石川県/慶応大
  • 40位/藤田晋(46)/サイバーエージェント/1036億円/福井県/青山学院大
  • 42位/田中良和(43)/グリー/1026億円/東京都/日本大
  • 49位/山田進太郎(42)/メルカリ/939億円/愛知県/早稲田大

日本長者番付ランキングを見て思いを巡らせる

企業の時価総額と比例しない長者番付

先日の世界ビリオネアランキングと比較して、今回最も大きく感じた違いは国内の「大企業」と呼ばれる企業のラインナップと重なっていないということでした。

例えばアメリカでは、GAFAMとまとめて呼ばれる大企業の創業者、株主がビリオネアランキングの上位に名を連ねています(アップルはいませんでしたが)。

一方で国内のランキングはどうでしょうか?トップ3の柳井氏、孫氏、滝崎氏はそれぞれファーストリテイリング(9位)、ソフトバンクG(3位)、キーエンス(2位)とそれぞれ時価総額もトップクラスです。しかし例えばトヨタ自動車は?SONYは?NTTは?武田薬品は?という時価総額高そうな企業に関連した長者がいません。

その原因は、会社が出来てからの歴史によるものだと言えると思います。つまり、日本の時価総額上位の企業は設立が比較的古く、株式などが創業家内でも譲渡、相続により分散していたり、既に他に移っていたりするためにその企業に関連した長者というのが生じにくい状態になってしまっていると考えられます。

一方で若い企業だと、創業者がそのまま自社の大株主であるため、資産額が時価総額と比例するということになります。

「企業の時価総額ランキング」と「個人の長者番付」の顔ぶれの違いというのは、その国の起業のサイクルや勢いを反映する指標になると考えられます。

企業と消費者は一緒に年を取っていく

日本に対して「失われた30年」という表現が使われることがあります。世界各国で大きく経済成長を遂げているにもかかわらず、日本だけが30年前から殆ど成長していない。

時価総額ランキングでもいまだに自動車会社が一位。上位に食い込むIT企業は数えるほど。この辺りは、日本の人口ピラミッドとの関係で説明が出来そうです。

お金を持っていて、たくさん使える人たちは若者ではなくてお年寄り。それなら、お金が落ちる先はIT企業ではなくて自動車会社なのかもしれません。あるいは銀行にとどまるか。

2020年に新たにビリオネア入りした日本人は0人だったそうですが、これも昨今の起業がIT分野に多いことを考えると腹落ちしました。会社は作っても、使う人がお金を持っていない。日本国内だけをターゲットにした商品、会社はパイが限られるのでジリ貧です。

いかに初期から海外展開を見据えることが出来るか、如何にお年寄りに使ってもらえるやさしいサービスを作れるか、が重要になりそうです。そうなるとやはりライバルはNTTであり、トヨタなのかもしれません。

早慶>>>東京一工

今回注目した長者番付はいわば「外れ値」を見ているようなものだと思っています。同じようになれる方法なんて存在しない、再現性のない結果となります。

『成功はアート』byオンディーズ田中氏。

彼らの真似をすれば同じようになれるなんてことはありません。彼らの経歴の表面的な部分がそれぞれの結果に影響したとはとても言えませんが、今回、学歴と照らし合わせて言えることが一つだけ。それは「国公立大出身者がほぼいない」ことです。

アホな跡継ぎが行けそうな私立大に行く、というパターンもあるかもしれないので、創業社長だけ抜き出してランキングをもう少し深掘りすると出てくるかもしれません(特定の誰かを指しているわけではないです)。

それでもやはり早稲田、慶応はちらほらいるけど東大京大がトップ50人の中に0人、というのは無視できない事実だと思います。

そもそも国公立に行くような人たちは起業しない、という日本人の性を表しているのでしょうか。人は周りの環境にも影響されるので、「みんな起業することを考えるような国や大学」の対極にありそうなイメージの「日本の国立大」からは起業しようとする人が少ないような気がするのは納得です。

さらにはコネクションを考えても、東大に行くより慶応に行った方が社長と繋がれそうなイメージはあります。企業マインドが醸成されている場に身を置くことが可能性を高める

息子が大金持ちになりたいと言ったら、東大ではなく慶応に行くよう勧めたいと思います。

まとめ

長者番付ランキングに入っている人たちは「外れ値」であり、彼らの表面的なプロフィールをなぞっても彼らのようになれる訳ではない。

ただ一方で、国公立大学の出身者が圧倒的に少ないことには目を向けるべきではないだろうか。

どちらかと言うと国公立大学に行くことはその外れ値となる可能性をさらに下げる影響があると思う。

うちの息子(2歳)には是非大金持ちになってもらいたいので、東大ではなく慶応に行かせることにします。