
・社会貢献を継続的な取り組みにするために、ちゃんとビジネスとして成立させたい。
突然ですが質問です。
これまでに「社会や地域に関することで、もっとここが良くなればいいな」と思ったことはありませんか?
しかし、それを解決する方法を考えたとき、行政の介入のない方法を思いつきますか?
つまりは「そのサービスを受ける人から直接お金を受け取るだけではとても回していけなさそう」と思いませんでしたか?
これに当てはまる方は、以下の記事を是非読み進めていただきたいです。
社会の課題についての具体例
例えば、私が自分事として捉えている課題は以下のようなものになります。
- 共働き世帯のサポート:小1の壁をなくす子ども預かりサービスの充実
- 公園の美化:公園の池を定期的にかいぼりして、池の水をきれいに保つ
- 文化の普及:囲碁をもっと幼い子供たちに広めたい⇒絵本の寄贈について活動中
今すぐにどうこうはできませんし、出来ていません。ただの偽善なのかもしれませんし、行動に移せていないことも多いので何を偉そうに、という話なのですが、、、。
ただこの気持ちは自分が親になってからずっと抱き続けている想いであり、自分の中にある「何とかしたい」という気持ちは本物なのだと思っています。長い時間をかけて向き合って、取り組みたいという思いがあります。
ですが、私は資本家でもないので採算度外視で人を雇って活動を行うこともできません。ボランティア活動を指揮するのではいずれ疲弊してしまいそうということが容易に想像できます。
活動を持続的なものにするためにはビジネスとして成立させる必要があります。そのことを考えて次の一手が浮かばない状況でした。
そんな中で出会った「ボクらはわがままな企業で生きていく(脇本泰志著)」。
上記のような私の悩みや疑問にすべて答えてくれる一冊でした。

「ボクらはわがままな起業で生きていく」概要
筆者は、愛知県で「特定非営利活動法人えんとかく」を運営されています。
そこでは障がい児の療育支援、不登校支援、障がい者の社会進出支援等を行っていて、本人も現場に出たり講演活動などで全国を飛び回っているそうです。
本書のタイトルは「自分事」を起点にして、自分が喜ぶことが周りの人たちの喜びにもつながるとの想いで付けられています。
自分の内からくる想いを起点として、社会に貢献すること大切さを伝えてくれています。
著者の幼少期の原体験からNPO法人を設立するまでの半生、そして実際に社会起業を始めるまでの具体的な方法や考え方などがまとまっています。
社会起業という活動に対するモチベーションを高めるのにも役立ちます(私は特にこちら)。
また法人設立や起業する際に注意することなどをまとめたチェック項目などもまとめられており、具体的に動き出す際の実用書としても大変参考になると思います。
以下に特に印象に残った点について書きたいと思います。
社会貢献+ビジネス=社会起業
資金調達が難しいのがデメリット
社会起業とは、本書において「社会の抱える課題を解決しながら経済的な安定を図ること」と定義されています。
一般的な起業が経済的な視点を中心に、営利を目的としてなされるのとは異なり、社会にある課題を解決することを目的として行われるのが社会起業です。
私が最も重要だと感じたのが、経済的に継続できるレベルまで引き上げてこその社会起業だということです。
本書においては、伝統文化の保存について例を挙げていますが、これが非常に分かりやすかったです。
伝統文化を守りたい!という思いがあったとしても、伝統文化の消失は社会課題のテーマでしかない。そのため、これを保存したい!と声を挙げても「その文化を残したい」と考える人しか投資しない。
文化を残したい人、というのは恐らく文化の衰退とともに少なくなっていくので、活動もどうしても先細っていってしまいます。
だから、事業化してビジネスとして成立させることが重要だという考えにとても納得しました。伝統文化の例で行くと、例えばその文化を利用した商品開発をして、利益を得ることで保存活動も回していくことが出来るというものでした。
私が解決したい課題についてもそうですが、収支をどうするのか?ということを考えるのは簡単ではありません。
私の課題ではどうか?
たとえば「公園をキレイにしたい!」という活動でどう継続的に収益を発生させればいいのか。素人的に思いつくのはこんな感じ。
- かいぼり(池の水を抜いて底を天日干し)に合わせてイベントを企画し、そこで収益を得る?
- かいぼりとその前を含めたストーリーをSNSなどで発信して広告収入を得る?
- イベントとしての価値を高めて協賛を募る
いずれにせよ、ここからは「かいぼり」というどこでもやっている活動をいかにイベントとしての価値を高めるかというのが課題となりそうです。
テレビ番組でも池の水を抜いたりしていますし、認知はされているので風は吹いていると思います。
なぜその課題を解決したいのかを掘り下げる
「社会起業をするために必要な事業テーマのまとめ方」として、いくつかのチェック項目のうち「社会起業の動機ともなるこの部分を掘り下げること」が重要だと筆者は述べています。
自分の原体験を振り返ったり、思いを新たにすることで軸をしっかり持つことが出来る。そして自分の軸をしっかり持っていればアンチな意見を持つ方の声などに揺らぐことがなくなるし、事業を継続する動機にもなると。
多くの方が最初に取り組むべきはここなのではないかと思いました。
「声だけ挙げて実行に移せない」「時間が経つと考えが変わり活動が停止する」こういった状態を避けるためにも、自分の中のエンジンを燃やし、周りに影響されないハンドリングを身につけるためにも動機を明確化することは非常に重要だと思いました。
私も、まずこの深掘りを真剣に行います。
まとめ

社会に課題を見出して、これを解決する社会起業家はシンプルに「かっこいい」と思います。
過去の辛い体験を昇華させて、それから逃げて終わりではなく立ち向かって解決するという話を聞くと、自分が喜ぶことが周りの人たちの喜びに繋がる「わがままな起業」というフレーズも魅力的に聞こえてきます。
私自身は幼少期に語れるような原体験もなく、現在も比較的平凡な生活を送っています。
ですが、今考える課題が将来的に私以外の誰かの喜びに繋がるかもしれないと思うとワクワクしてきました。
今回紹介した「ボクらはわがままな起業で生きていく」は、小さくてもいい、何か社会に自分事として課題を見出している人に読んでもらえるといいかなと思いました。
参考になれば幸いです。