教養のある人生は楽しそう!_【リーダーの教養書】

リーダーの教養書(幻冬舎文庫)を読んだ。

本書は、リーダーにとって必要な教養を身につけるための推薦図書を各分野の専門家があげてくれている。それぞれの書評も面白い。選者にとって思い入れのある本を紹介するわけだから当然なのかもしれないが、いずれも熱が感じられ、どの本も手に取ってみたくなる程であった。

そして冒頭には、出口治明氏と楠木建氏による「なぜ教養が必要か?」というテーマでの対談の様子が収められている。はっきり言って、この対談だけでも十分に得るものがある。リーダーとして、教養とは、そういったテーマについて深く考えるキッカケを与えてくれた一冊というか一章であり、今は早く一冊目を選びたいという気持ちになっている。

リーダーをしている人も、そうでない人も。
人生を楽しいものにしたいと考える人や、教養とはそもそも何か?ということに興味のある方は是非読んでみてもらいたい

以下に対談部分から私なりに学んだこと、感じたことをまとめた。言いたいことは、「仕事のため、とかリーダーとしても重要だけど、そもそも教養を身につけた状態って人生めっちゃ楽しそう!自分も早くそうなりたい!」である。この内容を1700文字ぐらいで書いた。3ポモドーロ。もし興味があれば読んでみてください。

対談『なぜ教養が必要なのか?』を読んだ感想

読書

リーダーには教養は必須だと両氏は断言していた。特に出口さんは「教養無きリーダーは去れ」とまで。その理由は人は一人で仕事をするわけではなく、リーダーの教養の有無が周りへの理解の有無に繋がり、職場環境としての質を左右するからだという。

私も職責としての上下関係はないが、プロジェクトでリーダーを務める立場であり、せっかくだからよりよいリーダーでありたいと常々思っている。私の中の理想のリーダー像は「しゃーねーな、いっちょ頑張るか」と最終的には思わせることのできるような人。私の担当するプロジェクトでは、多くの異なる専門知識を持ったメンバーが集まるため、「すべてを把握したリーダー」というのは中々難しい。私はPJ全体をリードする立場であり、その中の一パートの専門家を兼ねている。

このようなPJメンバーとの関係なので、リーダーとしての大事な仕事は「前や上に立って走りついてきてもらうこと」ではなく、「方向性を示すこと」に尽きるのだと思う。

「方向性を示す」というのは判断することに他ならない。この点で、対談の中にあった「これはどこかでみた現象と似ているな」という気づき(パターン認識)や、物事を氷山に喩え、表面に見えている1~2割の内容だけではなく常に水面下にある9割の内容を捉えようとすることの大切さを痛感している。自分は違う、と思っているが、周りに「変動おじさん」は結構いる。思い当たる節がありすぎて怖い。

また、「欲望への速度を下げて、物事を即時即物的にではなく抽象度を上げて理解する」ことの大切さを大変よく理解できた。これまでの自分はどれほどできていたのだろうか?自然とそのような考え方になるのが教養の有無なのかもしれないが、これに関してはまずは心がけで変えられる面もあるのかなと思った。「これって要するにこうだよね」と抽象度を上げる訓練をしていこうと思う。

お二人の対談で、リーダーに教養が大切であることを重々認識した。しかし、「リーダーには教養が大事だから教養を身につけよう」という動機は外部要因によるインセンティブとなり、それでは教養を身につけることにはつながらないというジレンマがある。あくまで自分の知りたいことを知ろうとすることが教養に繋がるのであり、そこから自分の軸、さらには人間観を養うことが重要だと理解している。

これは、最近のビジネス書に対する私の読後感を説明しているかもしれない。私はそもそもリーダー必読!と謳われたビジネス書やハウツー本を読むこと自体は嫌いではない。このジャンルを読み始めたころは得るものも多かったのだが、最近は書かれている内容がどうしても重なって見えてきてしまい、読む前のワクワクと比べて読後に得たものが多くないような気がして毎回少し落胆していた。妻からは「意識高い系の読書が好きだよね」といわれて多分いじられている。

つまり、表面的な事柄やハウツーを追いすぎているがために、結果として変わり映えしない内容の本を選んでしまっているのではなかったか?ということだ。これは本の内容が悪いのではなく私の読み方の問題だが、今や私にとってのビジネス書は、何か知識を与えてくれるものではなく、著者の半生をなぞって楽しむ娯楽小説になりつつある。

そんな中、本書ではお二人だけではなく各界のトップランナーたちがリーダー必読の書籍を紹介してくれている。紹介文でもそうだが、これだけの面々が揃いもそろって(失礼)、歴史の重要性を滾々と説いてくる。「歴史から学ぶ」ことの重要性は言葉では理解しているつもりだが、ここまで言われるならちょっと読んでみたいな、という気持ちになってきた。いずれも読みごたえがありそうなものばかりで、今はどれから攻めようかとワクワクしている。どうやらインセンティブではなくドライブに基づいた読書が出来そうで嬉しい。

本文の内容とはずれるが、個人的にとても印象的だったのが、冒頭の佐々木紀彦氏の序文だ。とても分かりやすい文章で、語彙力や表現もすごい(この語彙力の差!)。これからブログを頑張ろうと思っている人は序文から注意して読むことをおススメしたい。