円形脱毛症の原因は?ストレスとの関係について

『円形脱毛症になってしまったけど、一体何が原因なんだろう?』

『ストレスでハゲる、とよく言われるけど、円形脱毛症はストレスが原因なの?』

この記事ではこのような疑問に答えます。

結論:円形脱毛症とストレスとの関連性については、科学的根拠が乏しい

円形脱毛症の原因についても諸説ありますが、世界中の研究結果からストレスとの関連性について議論されていますが、明確な関連性は示されていないようです。

円形脱毛症の原因とは

円形脱毛症では、何が原因となって毛髪が抜け落ちてしまうのでしょうか。原因については諸説ありましたが、現在は毛包組織に対する自己免疫疾患が原因であると考えられています。

組織学的にはT細胞(リンパ球)が毛包周囲に浸潤していることが確認されていて、脱毛病変部ではインターフェロンγやインターロイキン15などの炎症性サイトカインの産生が亢進されているそうです。

さらに自己免疫疾患の合併が多いことや、免疫能を調整する治療法で有効性を確認することなどからも、自己免疫作用との関連を支持する知見が得られています。

円形脱毛症とストレスは関係があるのか

円形脱毛症はストレスと関係している、あるいはストレスが原因となりうるのでしょうか?

 これに関しては以前より専門家の間でも議論があるそうです。患者のデータあるいは in vitro の実験データなどから多角的にストレスと円形脱毛症との関連について検討されていますが、日本皮膚科学会の現時点の見解は「円形脱毛症とストレスとの直接的な関連性について、科学的根拠には乏しい」というものです。

 現在も世界中で研究は行われています。今後さらに多くのデータが蓄積してくるにつれて結論が変わる可能性については否定できませんが、現時点ではストレスを過剰に心配する必要はないように思えます。

  • 円形脱毛症患者31名を対象とした精神科的面接調査を行ったところ、74%の患者が一生の中で一度以上は何らかの精神疾患の診断を受けているが、抑うつ状態と脱毛の病型には関連性を認めなかった (Colón EA et.al. Compr Psychiatry , 1991; 32: 245―251.)。
  • 1999年8月と11月にトルコ北西部 で発生した大地震の発生前後において、円形脱毛症の発生率を性別、年齢、重症度、蛇行型円形脱毛症(脱毛斑が蛇行して広範囲に存在する型)の発生の有無などに分類して調査したところ、これらの要因に有意な差はなく、自然災害のようなストレス環境が円形脱毛症発症の単一因子ではないと結論付けた (Kavak A et.al. J Dermatol , 2002; 29: 414―418.) 。
  • 脱毛症と精神的な負担の関連性がある (Ghanizadeh A et.al. Int J Trichology , 2014; 6: 2―4. 33)。
  • ストレスホルモンであるCRH(コルチコトロピン放出ホルモン)を含む視床下部―下垂体―副腎皮質経路(HPA経路)と毛組織との関係についての研究 (Ito N et.al. J Invest Dermatol , 2010; 130: 995―1004.)。

円形脱毛症だと思ったら

円形脱毛症とストレスとの関連性は低いと考えるのが妥当です。

もちろんストレスはあらゆる疾患の原因となり、あるよりはない状態の方が望ましいですが、ストレスがなくなれば(ないと信じられる状態になれば)円形脱毛症が改善するというものでもありません。

要するに、円形脱毛症は積極的に医療介入すべき疾患であるため、放置せずに専門医に相談すべきだということです。

通院に際しては皮膚科に行くようにしましょう。

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参考資料:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版